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涙のパヴァーン@シェイクスピアライブラリー版 [コンサートのお知らせ]


lachrimae.jpg


ルネサンス音楽の名曲の一つ、ダウランド作曲「涙のパヴァーン」。
リュートソロ、歌とリュート、コンソートなど、違う編成による作品が残されています。

リュートソロのための作品にも、いくつかの版があり、
テーマは同じでも変奏部分がちょっと違っていたり、
Dのバスが出てくるかどうか(何コースのリュートのために書かれたか)の違いがあります。


今回のコンサートは「シェイクスピア時代のリュート音楽」という趣旨ですので、
Folger Shakespeare Library が所有している版のタブラチュアを使用することにしました。
(上記の写真が、その楽譜です)

このweb図書館は、シェイクスピアを中心とした文学と演劇に関する出版本や写本、
当時の裁判記録や遺言書、レシピなど、生活の様子を垣間見ることができる資料などを
多数所有しています。

サイトトップも没後400年記念ということで、華やかになっておりますので、
ぜひ、ご覧ください。


こうして改めて写本を見ると、普通にそのまま読める綺麗な状態で、
右手運指の指示が細かく書き込まれていますね。



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オルフェウスが21世紀に獲得した能力 [コンサートのお知らせ]



Cervelli_Orfeo_ed_Euridice.jpg


オルフェウスを題材とした美術作品について書きましたが、(参考記事:オルフェウスと可愛い動物たち
音楽作品について言及しないわけにはいかないでしょう。

そのテーマとなる物語は「冥界下りの物語」。
亡くなった妻を追い求めて冥界に下ったオルフェウスは、
得意の竪琴で猛獣や神々を魅了し、妻を連れ戻すことに成功する。
ただしその条件は「後ろを振り向かないこと」。
途中で不安にかられたオルフェウスはついに振り向いてしまい、
妻は 冥界に逆戻り。とうとうオルフェウスは妻を失ってしまう。

という筋書きです。


バロック時代からオペラの題材として多くの作品が書かれ、
オルフェウス(オルフェオ)、または妻のエウリュディケ(エウリディーチェ)の名前が
タイトルとしてつけられています。

古楽関係ではモンテヴェルディの「オルフェオ」が有名ですが、
他になにがあるんだろうと、ざっと一覧を見てみました。




世紀ごとに作品の数をかぞえてみると、以下のとおりに。

17世紀 20作品 (ヤコポ・ペーリ作曲の「エウリディーチェ」が最初)
18世紀 28作品

19世紀   7作品
20世紀  13作品

21世紀   3作品


聴いてみたい作品を一つ挙げるならば、1647年、ルイジ・ロッシの作品かな。
フランスで行われた最初のオペラの一つで、彼が作曲中に、彼自身の妻が亡くなったのだそう。


バロック時代が多いだろうなとは予想していたのですが、20世紀が意外と多いですね。

親しい人が亡くなれば、再び会いたい、あるいは取り戻したいと思うのは人間の情として
普遍的なものであり、このギリシャ神話はいつの時代にも観客にアピールするものなのでしょうね。
ドラマティックな筋書きなので、舞台演出にも幅広い可能性があるでしょうし。


                 ***


そして、21世紀。
オペラも作曲され続けるとは思いますが、
それとは別に、オルフェウスは楽器を弾くだけではない、特別な能力を持つようになりました!

「自動作曲システム」です。
東大で開発され、日本語で歌詞を入力すると、
自動で作曲、伴奏つきで歌ってくれるというシステムだそう。


演奏サンプルが多数アップされています。

いやはや、びっくり。


シェイクスピアが描く「リュートを奏でるオルフェウス」から、
ずいぶんと遠くまで来てしまったような気がして、
ああ、これが400年の時間の経過なのか、
そんな時代にリュートを弾いている私たちって何なんだろう・・・?と、しばし呆然。

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満席のお知らせ@札幌公演 [コンサートのお知らせ]


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「夏の夜の夢〜シェイクスピア時代のリュート音楽」コンサート、
7月22日(金)カフェエスキスさん@札幌での公演は、
お蔭で満席となりました。

どうもありがとうございます!

引き続き、キャンセル待ちのお申し込みを受け付けております。




また同プログラムでの7月23日(土)@小樽文学館での公演は、若干、お席がございます。

詳細については、ブログ記事 および 公式サイトのコンサート情報コーナーをご覧ください。




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真四角には切り取れない写真 [お気に入り]


歩道橋の上に登ってみたら、
大した高さもないのに、結構、景色が変わって、うわーっとなった。

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hodokyo.jpg



iPhoneで撮影。パノラマ写真。


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9-11月のコンサート情報 [コンサートのお知らせ]


スクリーンショット 2016-06-19 9.45.25.png

2016年9月〜11月のコンサート情報公式サイトに掲載しました。

まだチラシが完成していないので、日時と場所、概要のみですが、
ご覧くださいませ。

サイトトップの画像も少し変更しました。


どうぞご覧くださいませ。



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写真日記をつけています [日々の想い]

スクリーンショット 2016-06-18 10.38.06.png

先日からふと思い立って写真日記をつけています。

趣旨:iPhone一つを用いて、日常の中で面白いな、綺麗だな、と感じたものを撮る。
機材:iPhone(6s)の標準カメラで撮影し、「編集」で色合い、明るさを調整。
   場合によってはアプリで加工。日付をいれて、SNS投稿。
目的:特にない。自分が面白いから。

一眼レフもミラーレスもコンデジも持っていますが、
そこをあえてiPhoneひとつでやってみようという試み。

他に機材もPCさえも必要ないので、気軽に続けてみようかと。
寝る前にベッドの中で、あるいは食休みのひと時に、その日撮影した写真から一枚を選び、
保存して翌日SNSに投稿、というサイクルです。

スクリーンショット 2016-06-18 10.38.31.png

こうして並べてみると、全く脈絡ないですね・・・。


同じ写真を以下のSNSに投稿していますが、投稿先によってタグやコメントは変えています。
よろしかったらご覧くださいませ。





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オルフェウスと可愛い動物たち [愛しのリュート達]


前の記事では、オルフェウスが奏でるリュートを聴いていたのは、草花や海や鉱物でした。
しかしながら、「Orpheus」で画像検索をかけて出てくる絵の多くは、
可愛らしい動物たちに囲まれているオルフェウスの絵です。

これいいな!と思う絵は有名な作家の作品ですが、テーマが関心度低いものなのか、
どれもpublic domainになっていません。
著作権の問題がありますので、ここではリンクを載せておきます。


その歴史も非常に古いこともこちらの記事からわかります。

多くは 竪琴(リラ)を弾いていますが、ヴィオラ・ダ・アルコ、
またはヴァイオリン系の楽器を弾いているオルフェウス像もかなり多く見られます。



Gennari Benedetto(1633-1715) 作 左端の犬が前脚を膝に載せている! 


orpheusplaying his lyre (Gennari Benedetto I).jpg



Francesco Bassano(1549-1592)作  足元で、猿が楽譜を持っている!

orpheus.jpg

まあ、動物たちの可愛らしいこと!



シェイクスピアは、当時最も身近にあったリュートをオルフェウスに持たせているわけですが、
そうなると、スペインのオルフェウスが弾くのは、ビウエラということになります。

ルイス・ミランのビウエラ曲集(1536年)より。

Vihuelaplayer.jpg

この曲集の絵、今までビウエラにばかり目がいって気がつきませんでしたが、
周りに 鳥、犬、ウサギなど、動物がいっぱいいますね。



さて、肝心のリュートを持っているオルフェウスの絵は見つからないなーと思っていたら、
以前、似たような絵をブログにアップしていたのを思い出して発掘。



Cornelis Cort(1533-1578)作 

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この作品タイトルは「Hearing:聴覚」となっていて、バグパイプやコルネット、オルガンに至るまで、
ところ狭しと楽器が並べられています。ガンバは足蹴にされている(笑)。

作家Cornelis Cortはオランダの銅版画家。

この作品の状況は、オルフェウスと考えていいのかと思ったのですが、
作家の別の作品に、「荒野の聖オルフェウス」というのがあり、
しかもその画像が公開されていない、という問題にぶちあたりました。

ということで、これについては一旦保留。
この絵も可愛いよね。(鹿の口元がつぼ。)




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もう一つのオルフェウス@シェイクスピア [愛しのリュート達]



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Jean-Baptiste-Camille  Corot(コロー)による作品「Orphee 」。
ギリシャ神話に基づき、リラ(竪琴)を手にしています。


2016年7月に北海道で行うリュートコンサートのチラシ裏で引用している
シェイクスピアの文章、スペースの関係で省略しておりますので、
ここでその詩の全体を記載しておきます。
(拙訳につき、詩の押韻などは日本語には反映させていませんが、ご了承ください。)

 

『ヘンリー八世』(第3幕第1場)

 

Orpheus with his lute made trees,

And the mountain tops that freeze,

Bow themselves when he did sing:

To his music plants and flowers

Ever sprung; as sun and showers

There had made a lasting spring.


Every thing that heard him play,

Even the billows of the sea,

Hung their heads, and then lay by.

In sweet music is such art,

Killing care and grief of heart

Fall asleep, or hearing, die.

   

オルフェウスがリュートをとって歌えば、

樹々や凍った山の頂も、         

その身を低くして耳を傾ける。

オルフェウスの調べにつれて 草や花は萌出でる。

陽の光と雨の恵みがそこに

永遠の春をもたらしたかのように。

 


オルフェウスの歌声を聞いたものはみな、
海の高波さえも
その波頭を鎮めて凪いでしまう。
その甘美な音楽にはそのような不思議な働きがあり、
心配事や深い悲しみは 
眠りにつき、やがて死に絶える。

 

 

 


これについては、これまでも何度か書いていますが、

実は、シェイクスピアの他の作品にも、
オルフェウスがリュートを弾くシーンがあることを知りました。



『ヴェローナの二紳士』(第3幕第2場)

ある女性に想いをよせる青年に「ラブレターを書いてみてはどうか」と
友人がアドヴァイスしているシーン。


Say that upon the altar of her beauty 
You sacrifice your tears, your sighs, your heart: 
Write till your ink be dry, and with your tears 
Moist it again, and frame some feeling line 
That may discover such integrity: 
For Orpheus' lute was strung with poets' sinews, 
Whose golden touch could soften steel and stones, 
Make tigers tame and huge leviathans 
Forsake unsounded deeps to dance on sands. 
After your dire-lamenting elegies, 
Visit by night your lady's chamber-window 
With some sweet concert; to their instruments 
Tune a deploring dump: the night's dead silence 
Will well become such sweet-complaining grievance. 
This, or else nothing, will inherit her.


(その手紙の中で)彼女の美の祭壇に
君の涙と、ため息と、心とを捧げます、と言うのだ。
インクが乾くまで書いたら、君の涙で、
それをもう一度濡らすのだ。
そのような誠意が伝わるように文章を組み立てるのだ。
オルフェウスのリュートは、詩人の腱を弦にしたもの。
その黄金の調べは鉄や石を柔らかくし、
虎を手なずけ、巨鯨リヴァイアサンを
底知れぬ海から出て砂の上で躍らせたという。

君は、哀しみの詩を書き送ったあと、
甘美な調べを奏する楽師たちと共に、
夜毎、彼女の窓辺を訪ねるがいい。その楽器に合わせて、
嘆きの歌を歌うのだ。夜の静寂は
そのような甘い嘆きの歌にぴったりだ。
これが、他でもなくこれこそが、彼女を手に入れる方法なのだ。


      ***

先の詩では、植物や海などの自然を思いのままに動かし、
この詩では、鉄や石などの鉱物を溶かす力をもち、
虎や想像上のクジラまで手なずけるとは、
オルフェウスは、もはや超能力者ですね。


「オルフェウスのリュートは」部分、小田島雄志氏は
「オルフェウスの竪琴は詩人の神経を弦にしたもの」と訳されていています。

「リュートは詩人の神経を弦にしたもの」・・・キャッチコピーになりそうです。

リュートの弦が多くなればなるほど、図太い神経から繊細な神経まで
持ち合わせないといけませんね。
多分そういう意味ではないと思いますが、リュート奏者はいろいろ考えてしまう。


ここでは、sinewsを 通常の「腱」とそのまま訳し、
「腱」と「弦」のもつ糸状のイメージや語感の響きを合わせてみるのもよいかと考え、
以上のように訳してみました。


後半部分をみると、恋人のバルコニーの下でリュートを弾きながら歌うという、
一般によく知られたリュートのイメージの原点がここにあることに気がつきます。


参考にした本は、以下の通り。


ヘンリー八世 (白水Uブックス (37))

ヘンリー八世 (白水Uブックス (37))

  • 作者: ウィリアム・シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1983/10/01
  • メディア: 新書










ヴェローナの二紳士 (白水Uブックス (8))

ヴェローナの二紳士 (白水Uブックス (8))

  • 作者: ウィリアム・シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1983/10/01
  • メディア: 新書








*サイコパスといわれるヘンリー八世。血みどろの人生です。



ヘンリー八世の六人の妃

ヘンリー八世の六人の妃

  • 作者: アントーニア フレイザー
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 1999/08
  • メディア: 単行本









王妃の闘い―ヘンリー八世と六人の妻たち

王妃の闘い―ヘンリー八世と六人の妻たち

  • 作者: ダイクストラ 好子
  • 出版社/メーカー: 未知谷
  • 発売日: 2001/05
  • メディア: 単行本













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ガット弦の製造過程(17-18世紀イギリス) [愛しのリュート達]


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本日は、読書メモです。

図説「最悪」の仕事の歴史(トニー・ロビンソン/著、日暮雅通・林啓恵/訳)原書房


以前から、ルネサンス時代〜バロック時代にリュートや弦がどれくらいの価格だったか、
手紙などを調べて比較して考えているのですが、
ふと「そもそも弦の長さの単位が現代とは違うんじゃないか」と思い当たりました。


つまり、ガリレオが「リュート弦1束」という時、
それは私たちが想像する小分け分包されたものとは、長さが違うのではないかと。

それに、一頭の羊さんから何メートルのガット弦が取れるんだろう?という疑問も。

過去のブログ記事【ガット残酷物語】

過去のブログ記事【草食動物?肉食動物?】



その場面を想像しただけでも、怖いよぉ・・・という感じなのですが、
勇気を振り絞って読んでみました。


イギリス・スチュアート朝時代の「最悪の仕事」として、短いですが、
「ヴァイオリンの弦づくり」の項目があります。
以下、グロ注意ですが、製造過程について簡単に。

・弦づくり職人は、原料として殺したての羊を入手する必要があるため、食肉処理場の近くに住むことが多い。
・ヴァイオリン弦の原料になるのは、羊の下のほうの腸で、長さは30メートルぐらい。
・傷をつけないように細心の注意で、腸をはずす。
・腸の中身を桶にあけて、脂肪質の組織、筋肉、血管を残らず手でこそげ落とし綺麗にする。
(この「愉快な作業(!)」は、家族のうち息子や娘の仕事。>弦づくりは家族一丸となって作業する)
・木材を焼いた灰を溶かした中に浸し、その液を定期的に交換しながら、一週間ほど置く。

これで原料がすっかりきれいに。

・腸の幅が広くて高値がつく部分は、ソーセージの皮にするために回す。
・細い部分は裂いて繊維状にする。
・さまざまな太さに束ねる。
・それぞれの端をフックに取り付け、繰り返し回転させて繊維を撚り合せる。
・弦を乾燥させる。


弦になるのは、ソーセージの皮にする分を取り分けた残りの部分なんですね・・・。

一頭の羊から30メートルの腸が取れるって、本当かしら?
この資料の信ぴょう性、大丈夫?と思って調べたら、本当でした。
(ソーセージ関係の文書を調べた)

すごいな、羊。



ヨーロッパの貨幣価値と物価の面からアプローチする手もあるのですが、
東洋圏についての検討も(個人的な理由で)必要なので、
あえて「羊方面」(=羊肉食文化)からアプローチしています。





とりあえず、今日はここまで。



図説「最悪」の仕事の歴史

図説「最悪」の仕事の歴史

  • 作者: トニー・ロビンソン
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2007/09/21
  • メディア: 単行本


ガリレオの娘 ― 科学と信仰と愛についての父への手紙

ガリレオの娘 ― 科学と信仰と愛についての父への手紙

  • 作者: デーヴァ・ソベル
  • 出版社/メーカー: DHC
  • 発売日: 2002/01/31
  • メディア: 単行本








ガリレオ―庇護者たちの網のなかで (中公新書)

ガリレオ―庇護者たちの網のなかで (中公新書)

  • 作者: 田中 一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1995/06
  • メディア: 新書




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「夏の夜の夢〜シェイクスピア時代のリュート音楽」によせて [コンサートのお知らせ]

 

 

port-whitebrouse-mono-copy.jpg

 

北海道でのリュートソロコンサート「夏の夜の夢〜シェイクスピア時代のリュート音楽」によせて、

チラシ裏面に記載している文章を掲載しておきます。

 

                *****

 

リュートという楽器の存在を知ったのが13歳のとき。

その10年後にリュートを手にして以来、息をするようにリュートを弾く生活を続けてきました。

16世紀の人々の暮らしや街の風景について想いを巡らせながらも、

あまりに遠い距離と時間に途方に暮れることもしばしば。

その一方で「人の生活の基盤にあるものは、どの時代もたいして変わらないのではないか」という気もしています。

 


さて、今年はシェイクスピアの没後400年の記念年にあたります。

彼が活躍した時代はリュートが盛んだった頃とピッタリと重なり、作品にもリュートが登場します。

彼の作品が今なお世界中で愛されているのは、そこに普遍的な何かがあるからなのでしょう。


 

今夜のプログラムはシェイクスピアの頃のイギリス音楽でまとめてみました。

これらは優れた作品であり、また親しみやすい魅力に溢れているがゆえに

(シェイクスピアの記念年であろうとなかろうと)私が長年愛奏してきたものです。

 

今回はルネサンスという時代への、そしてリュート音楽という世界へのガイド役を

シェイクスピアにお願いしてみるのも一興かと思った次第。

とりもなおさず、リュートという楽器の魅力の一つは、

シェイクスピアの次の言葉によって端的に言い表されているのですから。

 

《オルフェウスがリュートを奏でると・・

 それを聴いたものは皆、海の高波さえも波頭を鎮めて凪いでしまう。

 その甘美な音楽に、心配事や深い悲しみは眠りにつき、

 やがて安らぎのうちに消えていく。》(『ヘンリー八世』)


 


                  *****

 

プログラム詳細について、文末の「ヘンリー八世」中の詩については、また追って別記事にて書きます。

 

 

 


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リュートコンサート「夏の夜の夢」@札幌・小樽 [コンサートのお知らせ]


札幌小樽チラシ表.jpg

ルネサンスリュート(8コース)によるソロコンサートのお知らせです。

同じプログラム内容で、北海道3カ所で公演が予定されていますが、
まずは、札幌と小樽公演についてご案内いたします。
お近くの方のご来場を心よりお待ちしております。


詳細は、以下の通りです。

 
夏の夜の夢〜シェイクスピア時代のリュート音楽

A Midsummer Night’s Dream ~Lute Music of Shakespeare’s Time

 

《札幌公演》

7月22日(金)開演19:00(開場18:30)

CAFE ESQUISSE

〒064-0821 札幌市中央区北1条西23丁目1-1メゾンドブーケ円山1F

 

2500円(前売・当日共/1ドリンク付/19席限定)

ご予約・お問合せ/TEL  011-615-2334

ご予約・お問合せは、店頭またはお電話にて前日までにお願い致します。(水曜日は定休日の為予約不可)

ファックス・メールでのご予約はお断りさせて頂きます。

 

アクセス/ご来店の際は公共交通機関をご利用願います

・地下鉄東西線「円山公園」駅 下車(5番出口より徒歩7分) 

・札幌駅前バスターミナル1番のりばより中央バスまたはJRバス乗車、「円山第一鳥居前」停 下車(徒歩7分)


主催/CAFE ESQUISSE (カフェ エスキス) 



《小樽公演》


7月23日(土)開演18:30(開場18:00)

小樽文学館 2F   〒047-0031 小樽市色内1丁目9番5号


2500円(前売・当日共/全席自/30席限定)

ご予約・お問合せ/TEL  0134-23-1309 

         E-mail  atelierpiano@gmail.com(片桐仏壇店)

ご予約は会場でも承ります   TEL/FAX 0134-32-2388(小樽文学館)


主催/小樽文学舎

アクセス/JR小樽駅から徒歩10分 駐車場あり


 


 


*両公演協力/片桐仏壇店アトリエピアノ




《予定プログラム》


作者不詳「グリーンスリーヴス」「サリーガーデン」「道化師ケンプのジグ」


J.ダウランド「涙のパヴァーン」「道化師タールトンの復活」「わが敵、運命よ」「ファンシー」


A.ホルボーン「妖精の円舞曲」「夜警」「パヴァーン&ガリヤード」


T.ロビンソン「女王のジグ」「陽気な憂鬱」ほか


 

札幌小樽チラシ裏.jpg



どちらの公演もサロン形式でのコンサートとなっております。
お席に限りがございますので、お早めにご予約をお願いいたします。

コンサート本番までに、プログラム曲や時代背景などについて書き綴っていきますので、
時々、このブログをご覧頂けると嬉しいです。



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リュートカレンダー6月の絵 [愛しのリュート達]


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6月のリュートカレンダーの絵は、先月に続き、
「リュートを弾く女性のうなじは美しい」シリーズ・第二弾!。

ジュセッペ・マリア・クレスピの【リュートを弾く女性】
 Giuseppe Maria Crespi(1665-1747) “Woman playing a lute” です。


生没年を見ると、このリュートカレンダーシリーズでは、最も遅い生まれ、
バロック時代後期に位置するイタリア・ボローニャ派の画家です。

経歴を見ると、それなりに貴族やローマ教皇の寵愛を受けて活躍していたことがわかるのですが、
何よりユニークなのは、この人のファッションセンス!

黒っぽいぴっちりとした、スペイン風の服装を好んでいたことから、
「Lo Spagnuolo=スペイン人」というニックネームが残されています。
リュートカレンダーでいうと2月の絵の男性みたいな服装か。これ100年前・・・)

例えば、J.S.バッハが1685年-1750年、ルイ14世が1638年-1715年と、やや近い時代で、
彼らの肖像画から想像されるのは、もっとチャラチャラ、ひらひら、頭はもふもふで、
柔らかく明るい色調の服装。
そんな中で、堅苦しいフォルムの黒服好みとは クレスピさん、
かなりユニークなファッションセンスの持ち主と言えるでしょう。

ここで、本人の自画像を。(1700年頃。35歳ごろ)

Crespi,_Giuseppe_Maria_--_Self-Portrait_-_c._1700-transparent.png

確かに黒っぽい服装、そして強い光がおデコに当たって、光と影の対比をなし、
とってもバロックらしい肖像ですね。

私には、ねじりハチマキ(!)して、左手でリュートの運指を確認しつつ、
タブラチュア書いているようにしか見えませんが・・・。(幻覚)

        * * *

さて、絵を見ていくことにしましょう。

lute.jpeg

17世紀後半〜18世紀という時代、ボディの大きさ、トレブルライダー有り(バスライダー無)、
ということなどを考え合わせると、11コースのバロックリュートでしょう。

不鮮明で弦の数は正確には数えられず、ペグの数は11コースにしては少なく見えますが不明。
正面からの絵ではないので、細身のボローニャタイプとも断言できず。


このクレスピさんは、生涯イタリア内(ほとんどボローニャ)で活動した人であるにもかかわらず、
イタリアでバロックリュートが描かれていること自体が、興味深いと言えるでしょう。

イタリアでは この時代、アーチリュートやテオルボなど長い棹(バス)をもつリュートが
中心になっており、絵画で登場するのもそのタイプが多いからです。

テーブルの上に、ペグボックスの先と、リュートのボディの端を乗せて固定し、
調弦をしているところのようです。




この絵の最大の特徴は、リュートケースが大きく描かれている点です。

閉めた時に隙間ができないように 内側に一段高くした部分があったり、
蓋をパチンと閉じる金属部分などの細部がよく見えるように描かれています。

lutecase.jpg

現代のリュートケースは、このように横に蝶番があって、横開きになる仕様ですが、

IMGP0090.jpg


昔のは、ボディを横切るように蝶番があり、縦に開く仕様でした。

例として、ルネサンス時代(1550年頃)の絵「Concert of women」の女性たちの背後、
壁にぶら下げてあるリュートケースにご注目ください。

concert.jpg

concert-lutecase.jpg

蓋が蝶番部分から下へ開いている状態でぶら下げてあり、
蓋の裏面に横方向へ補強がなされているのがよくわかります。
(この時代のリュートは小型でケースも軽く作られており、壁かけできたと推測されます)

今回のクレスピさんの絵のリュートは大きいので、壁掛けにはできそうになく、
全体の構造ももっとがっしりしています。


現代でも、この歴史的仕様のケースを作っている方もいらっしゃって、
わかりやすい写真が掲載されているので、ご覧ください。
博物館所蔵の歴史的なリュートケースの写真もあります(装飾が美しい)。



                * * *

クレスピのリュート(とリュートケース)が登場する別の作品を。

fulvio_g.jpg

「Fulvio Grati 伯爵の肖像」(1700-1720年頃)

右の楽譜を持っている男性は・・・少年? それとも妖精かな?(笑)
遠近感と人物の大きさの関係がよくわからないのですが、それは脇に置いておいて。

画面左端にリュートケースがあり、開いた状態がよくわかります。
先端部分の形状も先の作品とは少し違います。
楽譜が突っ込んであったりして、微笑ましい。

lutecase2.jpg

fulviolute.jpg

こちらのリュートは 大きさやペグの数、表面板の形から8コースルネサンスに見えますが、
どうでしょうか。
リボンをストラップにしていて、必ずしもテーブルにリュートを預ける形でばかりで
演奏していたわけではないこともわかります。

テーブルの方へ伸ばした手には、マンドリーノかソプラノリュートを持っています。


もう一点。「リュートを弾く若者」

youngman.jpg

暗い色彩で何がなんだか・・・。もはや、左手の親指の位置はよし!・・としか・・・。
ボディは大きめながら、トレブルライダーはなく、ペグの数からもルネサンスリュートに見えます。



次に、風俗画としてちょっとユニークな作品「本箱」(1725年頃)。
当時、ボローニャの有名な音楽学者・音楽批評家だったマルティーニからの委嘱作品。

bookshel.jpg

「ちょっと参照して本の間に突っ込んだ」風情の紙切れ、ペンの羽軸の予備、
楽譜や本などが(埃と共に)詳細に描写されています。本のタイトルは読めるほどです。
この絵が壁にかけてあったら、本物の本箱があるように錯覚しそう、という
一種のだまし絵のような作品。


          * * *

風俗画家としてだけでなく、宗教画、肖像画、風刺画など幅広い表現方法を持っている画家で、
今回取り上げた作品は、その芸風のごく一部でしかありません。
マイナーな画家で、あまり作品を多く見つけることができませんが、
Youtubeにその作品をまとめた動画がありましたので、ご覧ください。

バラの花や天使や女性たちが空を舞う、ゆるふわバロックな天井画や、
ロバなどの小動物や子供の表情がユーモラスなエッチング、
宗教や神話をテーマにした作品群などを見ることができます。
26分の動画ですので、お時間のあるときにゆっくりどうぞ。





【今月のおすすめCD】
ザンボーニのソナタ集(ルチアー二・コンティーニ氏または野入志津子さん演奏)を
おすすめしたかったのですが、すでにどれも販売終了の模様。

** 追記です!**

◉コンティーニ氏のザンボーニのソナタ集、AmazonでのCDの取り扱いはないようですが、
iTune Storeからのデータ購入が可能です。  

Apple Musicにも入っているようなので、契約している方は是非。


◉Miguel de Olaso氏演奏の比較的新しい録音で、Giovanni Zamboni Romano  もあります。
これは、曲目登録に何かミスがあった模様で、作曲家名がヴァイスと表記されますが、ザンボーニのソナタ集です。
複弦のアーチリュートで弾いているところが、上記2作との違いで、
それぞれの音色を聴き比べてみるのも良いでしょう。





イタリアバロックもので、リュートが活躍するのは、もうこれしかないでしょう。名曲です。


Vivaldi: Complete Works for Italian Lute/ヴィヴァルディ:四季イタリア・リュートのための作品全集 [Import]

Vivaldi: Complete Works for Italian Lute/ヴィヴァルディ:四季イタリア・リュートのための作品全集 [Import]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bis (Swe)
  • 発売日: 1988/03/01
  • メディア: CD













ヴィヴァルディ:リュート&マンドリンのための協奏曲集

ヴィヴァルディ:リュート&マンドリンのための協奏曲集

  • アーティスト: イル・ジャルディーノ・アルモニコ,ヴィヴァルディ,オノフリ(エンリコ),ピアンカ(ルーカ),ガルフェッティ(ドゥイリオ),ムジー(レオナルド),ポール(ウルフガング),メラティ(ジョルジオ),ルッソ(エレナ),ビアンキ(マルコ),ロナルディ(マッシモ)
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2015/03/11
  • メディア: CD




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